日が昇る前の夜明けが一番暗いと、確かにあなたは言った
目には見えない、小さな小さな悪魔のせいで世界が震撼してる。パンデミック。遠くの国で、誰かが亡くなっている。それはいつも。そしてこの国でも。わたしたちは検討されている和牛券とか二枚のマスクとかなんとか宣言とか長すぎるおうち時間(クソ)とかに怯えながら、いままでと少し違う生き方を強いられる。はやく終われ、終われ、終われ、終われ……………………………
今日は、わたしが彼らに会えるはずの、日だった。
当選の結果を見たときの胸の昂りは生涯忘れられないもので。そして、公演のキャンセル通知を見たときの絶望感は、はやく忘れてしまいたいくらい苦しかった。冗談だと思った。寒さを感じた。四月は永遠に来ないのだと思った。
すべてのはじまりを共にするはずだったのに。
胸の中で、だいじにだいじにずっと抱きしめていた箱の中で、シュレーディンガーの猫は死んでいたのだ。
いつまでもいつまでも、ぐずぐずと引きずっていては、だめだとわかっているけど。それでも会いたくて、どうにもできなくて、まだちょっと死にたくなる。
해가 뜨기 전 새벽은 무엇보다 어둡지만
네가 바란 별들은 어둠 속에서만
뜬다는 걸 절대 잊지 마
日が昇る前の夜明けはなにより暗いけど
君が望む星は暗闇の中でだけ光ることを
絶対に忘れるな
SUGA's Interlude
いまは暗闇だった。愛だけがちかちかといつもより強く悲しく光ってる気がする。
必ず、彼らに会わなければならない。好きだと、声が届かないならわたしの虹色に光る星を掲げて伝えたい。ほそくさんはいつも、なにかを願うときはいちばんはじめに「健康」を祈る。それは当たり前であるべきもので、すこし脆いと今更になって気づく。わたしが健康でも、あなたが健康でなければ、あなたが健康でも、わたしがそうでなければ、そして世界が健康でなければ、わたしたちは決して会えないのだった。健康とは、均衡と同意語だった。
彼らのいる国に足を踏み入れることすら出来ない今、わたしたちは本当に、互いの無事を、そしてこの暗闇の収束を祈ることしか出来ない。すこしでもそばにいたいというリアコのわがままは、健康あるのみなのだ。
(ほそくさんの短冊。"すべての健康と幸せ" ギャル字がかわいい)
なぜかわたしは三月に扁桃炎で41度の高熱をキメたり人生初の盲腸になったりとボコボコにやられてるわけなんですが、免疫力がおそらく死んでいるのでほんとにいろいろ気をつけなきゃなと思います。よく食べよく寝て、酒もほどほどにするね。。。どうか健康でいてください。わたしたち、必ず笑って会いましょうね。わたしの不運をどうか笑い飛ばしてくださいね。
舞台に立ってないと、辛い、と彼らは言っていて、きっとわたしたちよりも失われたものは大きいのだろう。それでもいつかくる朝のために、その朝だけを信じて必死に準備をしてくれている。たまにそばに現れてくれては、がんばろう、はやく会いたい、とこぼしてくれる。せめて、多忙すぎる彼らの、束の間の休息になればいいと思う。家族や、その………たいせつな、ひとの、そばにいれる時間が増えたなら、すこしは報われるような気がする。それはわたしたちの知らない時間。祈ることしかできない、見えない影の時間たち。この不幸の中で、可能な分だけ、どうか幸せでいてください。
当たり前を、当たり前だと思っていたい。それがほんとうは尊くて奇跡みたいで、大事にしなきゃいけないんだ、と思いたくない。そんなこと知りたくない。何にも怯えたくない。わたしを死にたくさせる理由はひとつだけでいい。死にたくなるほど好き。それだけに困っていたいのに、クソが(本当にシンプル悪口)
自宅待機となったわたしは、どうしたものかなぁとふてくされている。しばらくは、ふわふわになるべきなのにならないコーヒーをつくってみたり、インスタント麺を調合した話題の料理に手を出してみたり、本を読んだり、映画やドラマをみたり、したい。生ぬるい日々の大部分に、彼らへの想いを燃やしながら、そうやって生きてみるつもりだ。安心の確証がない、この不安定な世界で、あなたに会えるまで。生き延びてみせる。死因をあなたにするために。この長い夜が終わって、その朝が来た時、さわやかに起きれるように。
「星は闇の中でだけ光るということを忘れるな。」
星は夜だけ素直になれる空の涙なのかもしれない。どうか優しい夜になるように、あの曲をかけて眠る。
わたしたち、健康に、幸せで、また、逢えますように。
2020.04.11 mayo